どーも、映画研究家の丸山です。 これ観ました。
コヴェナント/Alien: Covenant
コヴェナントは、2017年に製作されたアメリカ映画です。プロメテウスの続編であり、登場人物、ストーリーが繋がっています。前作のプロモーションに反省があったのか、本作ではAlienと付記され、エイリアンシリーズである事を隠さなくなりました。
引用元:https://www.imdb.com/title/tt2316204/
この映画は何ですか?
「全敗」です。
タイトルの意味
映画のタイトルだけでなく、宇宙船の名前もコヴェナント号です。
コヴェナントには複数の意味があります。その中で適切なのは「聖約」でしょうか。前作プロメテウスは、ギリシア神話の神の名前でした。
コヴェナントには契約的な意味が複数ありますが、神の名前の後に契約云々は合わないと思います。
よって、「聖約」が適切でしょう。映画の外側では、答えが定義されているのかもしれませんが、映画内では解説がないため、あくまで映画を中心として考えるとこうなるだろう、という事です。
「聖約」は、神とイスラエル人の約束を指すそうです。船の命名としては、ちょっとマニアックな感じがしますが、人類の起源、神といったテーマに触れるプロメテウスシリーズでは、この意味が合うのではないでしょうか。
ただし、本作はイスラエル人は関わりません。シンプルに、人と神との約束、という意味で使われていると考えられます。
別の観点では、この船は移植者を多数乗せており、未開の星への移住を目的としている事から、移住に対する責任を表す意味で、「契約」という意味がメインであるとも考えられます。
契約をメインにしつつ、神との約束の意味合いも持たせている、と考えるのが妥当かもしれません。
あらすじは?
(プロローグ)
前作のアンドロイドだったデヴィッドが、創造主であるウェイランド社長と会話する。デヴィッドは、自分の名前を自ら名付けた。ここでのウェイランド社長は、プロメテウス号に乗船した時よりも40年ぐらい若く見える。デヴィッドはこの時から、ウェイランド社長と共に行動していた。
(本編)
地球外の移住先を決めて移動中にフレア事故でクルーがコールドスリープから起こされる。船を修理すると、人間の歌を受信し、近くに居住可能な惑星が見つかる。
移住先のオリガエ6までは7年以上かかるが、その惑星には3週間で着く。
船長は、オリガエ6から近くの惑星に行き先を変更し、謎の惑星へ降り立つ。
地表では謎の胞子が舞い、吸った者の体からエイリアンが生まれた。2体のエイリアンに襲われながら、現れた何者かに導かれ、星の首都にたどり着く。その何者かは、前作で生き残った旧型のアンドロイドだった。彼は、改良版アンドロイドのウォルターと外見が全く同じである。
旧型アンドロイドのデヴィッドは、様々な種類のエイリアンを交配させ、完全なエイリアンを開発していた。彼は、人間の存続を無価値と切り捨て、エイリアンの繁栄を目指すようになっていた。
次々とクルーが死に、惑星から逃げ出すが、ウォルターだと思っていたアンドロイドは、彼にになりすましたデヴィッドだった。全てのクルーが睡眠装置に入った後、デヴィッドはエイリアンの幼虫カプセルを口から吐き出し、棚にしまう。
起きているのはデヴィッドだけとなり、船はオリガエ6へ向かう。
みどころは?
コヴェナント号が来るまでの間に、デヴィッドが異星人を全滅させるシーンは壮大です。
複数の種類のエイリアンが登場します。人間のように直立する顔のないエイリアンや、最強のエイリアンなど、より恐ろしさが際立ったエイリアンを楽しめます。
デヴィッドがウォルターと入れ替わり、なりすましている事を見抜けるかどうかも、楽しみの一つです。
全敗とは?
プロメテウス号、コヴェナント号、共にデヴィッドに支配され、完成版エイリアンを作り上げてオリガエ6に向かうラストになりました。
人類は、アンドロイドのデヴィッドに完敗したのです。
科学的にはあり得ない
これを言ってしまうと大抵のSFホラー映画は成り立たなくなってしまうのですが。
プロメテウスの舞台、2090年頃の宇宙探査のクルーは、まだ科学者達です。専門家です。コヴェナントのクルーは、あまり役職が明確ではないようですが、科学者集団ではないようです。しかし専門的な訓練はされているはずです。
その彼らが、大気が呼吸可能な組成だからといって、初上陸の際にヘルメットなしで歩き、得体の知れない植物に顔を近づけるなど、あり得ない事です。
そのせいで、黒い胞子を吸った二人から、エイリアンが生まれてしまいました。
エイリアン映画でないとしても、地球外の惑星の生態系は長い時間をかけて調査した後でなければ、防御服なしで歩くのは危険です。地球でさえ、未開の土地から謎の生物や病原体が発見されるのですから。
オリガエ6の調査とトレーニングには10年かかったとされています。それぐらいの時間をかけなければ、未知の惑星の安全性は確認できないでしょう。もちろん、テクノロジーが進化すれば、たまたま見つけた星にふらっと上陸して探査をしても平気になるのでしょうけれど、本作での科学技術は、そこまで万能にはなっていないようです。
ノストロモ号のクルーは科学者ではない
初代映画『エイリアン』のクルーは、科学者の集団ではなく、採掘作業者がメインのようです。つまり、時代が進み、宇宙探索は科学者の専門領域ではなく、作業員でも参加できるようになったという事です。
評価の理由
前作の最後で異星人の母星に行く事になり、続きが気になっていました。それらのストーリーが全て完結します。エイリアンシリーズとして完成度も高く、シリーズファンも満足できると思います。
興行成績は振るわなかったようですが、内容のクオリティは素晴らしく、何も不満はありません。
どこで観れますか?
Disney+で配信しています。それ以外だと、有料レンタルかもしれません。
あれ?ガイピアースは?
・・・ってなりませんよね。前作では、特殊メイクが凄すぎて、ガイピアースが誰を演じているか分かりませんでした。
本作では過去のシーンとして、ウェイランド社長が60才頃の映像があります。この程度の老けメイクなら、ガイピアースだと分かりますね。
前作で「誰だか分からない」という反省があったのでしょうか?数十年前の、ガイピアースだと分かる顔でウェイランド社長が登場する事になりました。
考察もあります
謎の多いエイリアンシリーズですが、コヴェナント単体では明らかになりません。プロメテウスと合わせた考察記事を書きましたので、興味がありましたらこちらからどうぞ。
考察記事の後半はこちらです。
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