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謎だらけ?映画『ソラリス』のネタバレ感想・考察・あらすじ/Solaris (2002)

どーも、丸山です。 これ観ました。 



『ソラリス』とは

2002年公開の映画『ソラリス』は、1972年の映画『惑星ソラリス』をリメイクした、ソダーバーグ監督作品です。

通信の途絶えた宇宙ステーションへの調査を依頼された心理学者が到着すると、自殺した妻が現れます。その妻は一体何者なのか?何が起きているのか?困惑するクルーと共に謎に迫ります。

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引用元:https://www.imdb.com/title/tt0307479/

この映画は何ですか?

 

「魂の所在」です。

 

あらすじは?

登場人物

心理学者ケルヴィン
妻レイア
男性クルー、スノウ
女性クルー、ゴードン

内容

青い惑星ソラリスの探査中に通信の途絶えた宇宙ステーションから、ケルヴィン宛てのビデオメッセージが届いたため、ケルヴィンは現地へ向かう。

ビデオメッセージを送ったジバリアンは既に死亡しており、残ったクルーは様子がおかしい。やがてケルヴィンの前に、自殺した妻が現れる。ここでは、ソラリスの意志により死んだ人間が現れるなどの不可解な出来事が起きていた。

ケルヴィンは、一度は船外に妻を追放したが、すぐに新しい妻が現れた。そして、過去の記憶を元に、妻は再び自殺をする。しかし死体はすぐに再生し、3度目の妻が復元される。

更にスノウの死体が見つかった事で、オリジナルとコピーのスノウ達が自分同士で殺し合い、コピーのスノウが生き残った事が語られる。当初から会話していたスノウは、ソラリス版であった事が判明する。

地球へ偽の妻を連れ帰るのか、処分するのか。意見が分かれる中、密かに妻は処分される道を選んでいた。残されたケルヴィンはある決断を下す。

みどころは?

難解なストーリー展開

説明的な台詞がほとんどなく、台詞自体も少ないため、映像からストーリーを推測する事がメインになります。しかし、過去の記憶の映像が頻繁に挿入される事に加え、その過去の記憶にも時間の経過があるため、両方の理解が求められます。理解が難しい映画と言えるでしょう。

定義や説明が少ないため、様々な解釈の生まれる映画だと思います。

秀逸な音楽

ミステリアスな雰囲気を盛り上げる素晴らしいBGMですが、『2001年宇宙の旅』の特定のシーンの雰囲気にかなり寄せている印象です。映像も、ぼんやり観ていると内容が飲み込めない点は正に『2001年宇宙の旅』に近いと言えます。

魂の所在とは?

魂と意識は似たようなもの

本作は、1度観ただけでは分からないかもしれません。私は2度目以降でようやく理解できました。様々な見方があるであろう本作のテーマの1つとして、魂の所在が挙げられます。

映画『マトリックス』は1999年の作品で、本作の3年前に当たります。『マトリックス』で前提となるテクノロジーの1つに、肉体の外側への意識の転送があります。この意識の転送というのが重要なポイントです。

近年の映画では、人間のコピーが気軽に作られる傾向にありますが、多くの作品では、意識の転送について触れられていません。記憶と人格をコピーしただけでは意識は付随しません。自分のコピーが増えるだけです。自分自身を別の肉体に移すためには、意識の転送ができる必要があります。

このような場合の意識とは、魂と言い換える事もできます。人を人たらしめる根源的なものは、魂と呼ばれる事もありますし、自我と呼ばれる事もあります。分かりやすく言えば、自分自身=意識の事を指します。

合成でもいい

本作でのケルヴィンの妻は、記憶を元にソラリスによって合成された生物です。実体を持たないものではなく、実在する物体として合成されました。

ケルヴィンは、勝手に子供を堕ろした妻が許せず家を出て行き、妻は自殺してしまいました。それを後悔しているので、例え本物ではなくとも、この妻を愛したいと願います。記憶を再生するだけだと述べる妻に対し、新しい事をしていけると語ります。

ここに、本作のテーマが隠されていると感じます。

肉体と記憶と人格が再生された物体には、元の意識は宿りません。自殺する前の妻自身は、その中にいないのです。しかし、他者にとって、そこにどの意識があるかは、見る事も、確かめる事もできません。死に別れた愛する人を取り戻すために、そこに元の意識があるかは重要でしょうか?取り戻せるならそのほうが良いですが、取り戻せないならば、再生された物体が以前の妻のように会話ができれば、喪失感を感じずに済むのではないでしょうか。

目の前の愛する人が、オリジナルかコピーなのかが、どこまで重要でしょうか。「コピーならばいらない」と、喪失感を背負う日々を選びますか?コピーであっても、愛する人を取り戻せるならば、共に過ごすほうが幸せではないでしょうか。それとも、オリジナルを失った時点で、愛する人を失ったままでいる事のほうが幸せでしょうか。

そういった、実在性とオリジナリティの課題がテーマにされていると思います。

 

伏線の回収

本作が難解である理由の1つが、過去の記憶のストーリーを追う事です。過去の記憶は現在のストーリーの補完に使われる事が通常です。本作での過去の記憶は、現在のストーリーとは別の時間軸として、2つのストーリーが同時に進行するように経過していきます。

指を切るシーン

特に重要なのがキッチンで指を切るシーンです。同じシーンが2回登場します。

1回目は、指を切ってしまい、実際に傷ができます。
2回目は、血が出たため流水で洗うと、傷がありません。この差が重要なポイントです。

2回目のシーンは、ゴードンと地球に帰還する準備中に映ります。この時ケルヴィンは、地球に帰還してからの後悔の日々のイメージを見ます。そしてキッチンで指を洗い傷口がない事に気づき、棚に貼った妻の写真を見たところでイメージが終わり、ゴードンと一緒のシーンに戻ります。

この時の映像は、時系列で言うと「未来の映像」のはずです。ソラリスの力によって、ケルヴィンが未来視をしたと考えられます。指を切るシーンが伏線として生きるのは、1回目が現実で、2回目は現実ではないという対比です。切ったはずの指に傷がない事から、2回目は現実ではなく、ソラリスが見せていた未来だと考えられます。そしてケルヴィンは妻の写真を見て、「この未来には妻はいない。ソラリスなら妻がいる」と思い、ゴードンだけを帰還させ、自分は船に残ります。

船はソラリスに吸い寄せられていき、妻の写真を見て中断していたキッチンシーンの続きが始まります。そこでは、さきほどはいなかった妻がいて、自分達の行いは全て許されたのだと語り、永遠の幸せの中に収まっていくのです。

ケルヴィンは幸せそうにキスをします。この妻はコピーだと分かっていても、これが最善の選択肢だと分かっているからです。

そして最後に、遠ざかるソラリスが映ります。ケルヴィンがソラリスに残った事を思わせるシーンです。

評価の理由

難解である点は厄介ではあるものの、『2001年宇宙の旅』もかなり難解でありながら、今でも名作として繰り返し再生されています。本作はストーリー、展開、音楽どれをとっても素晴らしく、『2001年宇宙の旅』に劣らない名作であると思いました。

どこで観れますか?

Disney+で観られるかもしれません。有料でもレンタルする価値があると思いますが、1度観ただけでは分かりにくいかもしれないので、定額で利用できるところがオススメです。