どーも、丸山です。 これ観ました。
この映画は何ですか?
「リブートされたヘルボーイ三作目」です。
良作ですか?
良し悪しです。
どんな内容ですか?
過去に「ヘルボーイ」、「ヘルボーイ:ゴールデンアーミー」と二作が映画化されたアメコミ原作の映画です。今回三作目になりますが、スタッフ総入れ替えのリブート作品となりました。
一応、過去2作の続きと観れなくもない側面と、新シリーズと観れる側面があり、今後どうして行きたいのか分かりにくさがあります。(続編ではないようですが)
特に、映画化一作目とタイトルが同一であり、公開年を付記しないと区別ができないという難点があります。
あらすじは?
アーサー王にバラバラにされた魔女が復活し、ヘルボーイの中の悪を活性化して世界を滅ぼすトリガーにしようとします。
みどころは?
大型クリーチャー
過去作にはなかった巨大な敵が何体も登場します。
巨人3体と単独でバトルするヘルボーイが凄すぎてパワーバランスが気になります。
ラストに登場する複数の謎の巨大魔物のデザインは秀逸で、「こいつら一体何するんだろう」と期待が高まるも、一目ずつ映ったあとにすぐ元の世界に戻されて終了。もうちょっとじっくり見せてほしかったです。生煮え感。
デビッド・ハーバー
「ブロークバックマウンテン」ではハンサムな隠れゲイをちょい役で好演し、近年では「ストレンジャーシングス」で署長役を演じるなど、現在世界で最もセクシーな中年と言われるデビッド・ハーバー。最近はマーベルなどの大作の出演も続くなど、ハーバー株が上がり続けています。
本作でのハーバーは、残念な感じであり、ハーバーの無駄遣いとも言われるようです。
なぜかリブート
過去二作のクオリティは高く、特に主演のロン・パールマンはほぼノーメイクなんじゃないかというぐらいヘルボーイ顔が素に近い感じでしたし、体を重そうに歩く姿などがリアルに感じられました。
ギレルモデルトロ監督の手腕が光り、幻想的な舞台の作り込みが非常に素晴らしい作品でした。
デルトロ三作目についてはたびたび話題になりましたが、ギレルモデルトロは最終的に「何度も作ろうとしたけどもう無理」といったコメントを出していました。三部作とされていたため、残念な流れでした。
そしてファンが諦めきった末に突如、リブートされた本作が現れたのです。
リブート版では、監督だけでなく役者もごっそり入れ替わりました。ロン・パールマンで良かったヘルボーイも、ハーバーに代わったのです。
デルトロ版は二作目でかなり制作費が上がったであろう事が映像から分かります。三作目が難航したのは予算の問題かと思ってしまいます。
ハーバーになったヘルボーイ
良くなった点
これはないような気がしますね、残念ながら。
悪くなった点
こちらはたくさんあります。
・身軽になりすぎた:軽々と走れるし、巨人の攻撃もすいすいかわします。
・髪が汚い:過去作では綺麗に縛られていたのに、本作ではバラっとしています。
・弱い:刃物がザクザク刺さり、貫通もします。
・角がずれる:頭を拭くシーンで角がずれます。本作の詰めの甘さを物語ります。
・演技イマイチ:重いものを持つときや、巨人を殴るとき、筋力を使っていないのが見えてしまっています。殴る時に殴っていない感が分かるのはNGです。
これらはハーバーの演技が悪いのではなく製作側の問題だろうと思いますが、ロン・パールマンと比べると残念感が目立ちます。
最大のマイナスポイントは、ハーバーのセクシーさが全く発揮されていない点です。原形が分からないほどに「ロン・パールマンのヘルボーイ顔」に特殊メイクされているため、本作のヘルボーイの顔を見ただけでは、役者が誰だか分からない。
これではハーバー起用がもったいないです。
ぶっきらぼうなキャラクターはちゃんと演じられており、演技力には問題ありません。スーパーヒーロー的な部分の味付けが弱い印象です。
あの人が出ている
サシャ・レーン
フレッシュな印象で美しい彼女は最近話題性のある作品への出演が続いています。
Amazon Original版の「ユートピア」では、ジェシカハイドを演じています。
今後も期待の女優さんです。
イアン・マクシェーン
この人は「ジョン・ウィック」でキアヌ・リーヴスに「ウィンストン」と呼ばれるホテルオーナーで顔が売れている人です。続編も控えているので、彼の旬はしばらく続くでしょう。
本作では死んでしまいますが、過去作でもヘルボーイの父親役は死んでいるので、本作は過去作の続編ではないという事が分かりますね。
ジョヴォヴィッチ
有名女優なのですが、演技力や存在感はイマイチな事も。
本作ではベタな魔女の役なのですが、彼女は魔女役には向いていないようです。カリスマ性が足りないかなと思います。
本作で不思議な点として、映像のクオリティは概ね満点であるところ、彼女に関するCG合成がかなり手抜きなのです。嘘っぽい。
近年の女優で魔女に向いていそうなのはアン・ハサウェイが思いつきますが、ディズニー映画での仕上がりを観るとちょっと違うのかもしれません。コメディに加工されているせいかもしれませんが、シリアスな魔女には向いていないようです。
となると、現在魔女役が最も似合っているのはクリステン・リッターでしょうか。
新作「ナイトブック」での魔女役はバッチリでした。
ジョヴォヴィッチよりも娯楽向きな魔女かもしれませんが、「ジェシカジョーンズ」で主役を好演していたクリステン・リッターにはもっと活躍の場を与えてほしいなと思います。いい女優さんです。
デルトロ版の特徴として、彼が得意とする世界観でもありますが、幻想的な雰囲気を持つ作り込みが非常にしっかりしています。
本作の映像も丁寧に作られているのですが、デルトロ版のような幻想的な雰囲気はほぼありません。この点は好みにもよるでしょうけれど、先にデルトロ版を観てしまうと、本作は少し物足りなさを感じてしまいます。
脚本にコミック原作者を招くなど、デルトロ版の続編を寄せ付けないような製作陣の対応は、デルトロ版ファンには残念ですね。ロン・パールマンも未練のコメントを出しています。過去作のクオリティは非常に高いのですが、興行的には期待値に届いていないのでしょう。
デルトロ版の三作目が作られずリブートに至った本件は、映画史に残る残念な出来事だと言えそうです。
続編を匂わすワンカットが最後に映りますけれど、製作が続くほどヒットしたかはちょっと疑問ですね。
リブートしない方が良かったんじゃないでしょうか。