ネタバレパラダイス

鑑賞後にお読み頂きたいブログです

ミスターガラス/Glass(2019)

どーも、丸山です。 これ観ました。

 

この映画は、知らない人にとっては驚くかもしれないいきさつがあります。それは・・・。

アンブレイカブル

2000年の映画でアンブレイカブルという作品がありまして。その時の状況は、1999年にシックスセンスの大ヒットにより監督としての評価が最高に高まった状態での、次の監督作品が翌年公開のアンブレイカブルでした。シックスセンスの驚きのある仕掛け、そこから生じた話題性の高さ。そんな中で公開されたアンブレイカブルには「誰もが過剰な期待」をするのが当然と言える土壌ができあがっていました。通常の映画では作成されないような、作品のみどころをまとめた小冊子が劇場鑑賞時に配布されるなど、お金のかけ方も凄かったのです。

 

迷作アンブレイカブル

しかしその期待とは相反し、アンブレイカブルの内容には多くの人が疑問符を持ったものです。終始地味なストーリー展開と映像。訳の分からないエンディング。体がガラスのように超絶脆いというミスターガラスは、「ヒーローが生まれるためには悪役が必要」という持論から、自分が悪役を演じ、ヒーローの登場を待ち望んでいた。という結論が物語の最後にぽつっと判明し、そして終幕となります。(という20年前の記憶です)

 

えっ???

これしかなかったです。

シックスセンスのあの過剰なまでの鑑賞前演出と鑑賞後の大興奮、そして「もう一度みたい!」と誰もが思わされるようなトリック。その監督の次回作が・・・これですか?と。

友人に聞いても皆口を揃えて駄作と評した、シャマラン作品の中でも群を抜いて評価の低い作品がアンブレイカブルでした。

 

スプリット

 

そんなアンブレイカブルにはかすりもせず、2016年にスプリットが公開されました。多重人格者が主役で、一番最後に「最強最高の人格」が現れるか否かでバタバタしながら、マカヴォイの演技力が賞賛されたかどうかは分かりませんが一人で一作の中で23もの人格を演じ分けるのは(観客側にとって)無理があるよね、、そんな作品でした。23といっても目立った人格は3つぐらいです。まぁとにかく、そういう変な映画があったわけです。因みに最後に最強人格は現れて、素手で壁をよじ登るというエクソシストみたいな事をやっちゃうなど、ただ人格が変わっただけで肉体まで強靱になるなんてあり得るの?という不思議感が残る映画でした。

2019年 ガラス

 

世界中のみんなが、アンブレイカブルという駄作の存在を日常で思い出すことなどほとんどなく、スプリットという映画を観たことも概ね忘れているところに、急に舞い込んできた新作情報。それが、ミスター・ガラス(原題:Glass)です。

 

三部作?

 

いったいいつ思いついたのかは分かりませんが、その新作は、アンブレイカブルの続編であり、スプリットの続編でもある。という。アンブレイカブルには、ヒーロー枠のブルースウィリスと、悪役枠のサミュエル・L・ジャクソンの両方が出演していました。スプリットには多重人格のマカヴォイ。その3人が絡んだ結論編とでもいいますか。彼らが出会って物語が完結するという3作目、ガラスが来たのです。

 

え?アンブレイカブル続編あったんだ?!

という反応が正しいのか、

アンブレイカブルに無理矢理続編作りやがったぞ!

が正しいのか、

シャマラン本人にしか真実は分かりませんが、とにかく、あの、鳴り物入りで登場して大不評を買った迷作アンブレイカブルの続編が19年の時を経てやってくる。これは大きな驚きです。タイトルからすると、ミスターガラスが主人公のように見えるため、3つの作品それぞれ主人公が異なるかのように見えるかもしれませんが、今作でもミスターガラスの立ち位置は

 

アンブレイカブルと全く変わらない

 

です。

 

以上が前置きです。

 

ミスターガラス

 

今回の物語では、久しぶりに「不死身」設定のブルースウィリスと、ビーストが出ると凶暴になるマカヴォイ。二人が出会った後は精神病院に監禁されてしまいます。なぜか、ミスターガラスもです。この人はヒーロー属性が何もない、ただ列車事故を起こしたりする悪人でしかないのに。(少なくとも観客と異なり、映画の中ではそういう存在のはず)

3人仲良く監禁された後、あの男、ビーストとやりあってるぞ、何者だ?!と多重人格達が騒ぎ始め、その後二人はバトルします。しかしバトルのさなか、矯正医師みたいな女の一味が「介入することにした」との事で、ビーストは狙撃死、不死身のヒーローは溺死させられ、ミスターガラスはそもそも怒ったヒーローに体をぐちゃぐちゃにされて死亡。(外見上はぐちゃぐちゃではないが、実際はぐちゃぐちゃの設定)

矯正医師の枠は、アンブレイカブルの続編及び完結に必要だった、今回新たに登場した謎の組織で、彼らを「あなたたちは思い込みでヒーローだと思っているが、普通の人間です」と矯正しようとしたが、病院の外で人の目に触れるところでバトルが始まったため、矯正を諦めて抹殺することにした。というのが今回の物語のキモになる部分です。

しかし最後に少し展開があります。これこそが、今回の主役がミスターガラスである理由であり、またアンブレイカブルでは描かれなかった結論でもあります。彼は、監視カメラの映像を抜き出し、動画サイトに公開したのです。死ぬ前にね。

これによって、謎の組織が隠し続けてきた、「実はヒーローって存在する」という事実が、世界中で明かされます。謎の組織の末梢活動失敗ということです。そして、ミスターガラスの筋書きどおり、ヒーローには決闘相手が必要という「コミックの世界の実現」を達成したのでした。アンブレイカブルでは、ヒーローに対する悪役はいたけれど、決闘は無理でした。ミスターガラスは弱いから。ただの頭の良すぎる華奢な人でした。しかしビーストが現れたことで、彼のコミックの世界観が現実になったわけです。

 

とまぁ、このようにして19年前の駄作アンブレイカブルと、他の映画との関連など全く予想させずに「まぁまぁ面白い」程度のスプリットを挟んで、今作でアンブレイカブル、というかミスターガラスのヒーロー論は完成し、完結したのでした。アンブレイカブル単体で観たら、面白くないと思います。しかし、この予想外のシリーズ化によって、アンブレイカブルが19年ぶりに「意味のある作品」へと昇華したのです。

 

これが、シャマランの19年間の秘策だと、誰が思うでしょう?私は思いませんよw 後付けでしょ!!!

 

後付けでもいいから、アンブレイカブルの未消化感を消化に換えてくれた今作は、十分に観る価値のある作品です。(駄作って言われて悔しかったんだろうなー執念なんだろうなーシャマラン)

 

蛇足ですが、今作を観るために、前二作を観る必要はありません。今作だけで十分です。スプリットは、暇があったら観ましょう。悪くはないと思います。アンブレイカブルは、当時運悪く観ちゃった人は、改めて見直すのも良いかもしれません。ミスターガラスが何を語っていたかを知ることで、今作の背景がより理解できるようになる、かもしれないからです。